社労士の年収の実態|開業の所得は中央値200万円、法人は600万円、勤務は300万〜600万円が最多【2024年度実態調査】
「社労士の年収は○○万円」という数字をよく見かけますが、その多くは出どころがはっきりしないか、勤務の人と開業の人をまとめた数字です。社労士の年収は、個人で開業しているか、社労士法人の社員か、勤務しているかで大きく違います。この記事では、全国社会保険労務士会連合会が公表した実態調査の数字だけを使って、働き方ごとの年収を整理します。
この記事の要点
- 個人で開業している社労士の所得は、平均436.3万円、中央値200.0万円。「収入なし」が16.2%いる。
- 社労士法人の社員の役員報酬は、平均1,206.5万円、中央値600.0万円。
- 勤務等の社労士の年収は、「300万〜600万円未満」が38.0%で最も多い。600万円以上は合わせて41.5%。
- 開業の「売上」の中央値は550万円だが、「所得」の中央値は200万円。売上と手元に残るお金は別物。
社労士の年収は「働き方」で3つに分かれる
全国社会保険労務士会連合会(社会保険労務士総合研究機構)の「2024年度社会保険労務士実態調査」では、収入を働き方ごとに別々に聞いています。
| 働き方 | 調査で聞いている収入 | 回答者数 |
|---|---|---|
| 個人で事務所を開業 | 個人事業の所得 | 13,061人 |
| 社労士法人の社員 | 役員報酬 | 2,190人 |
| 勤務等(会社や事務所に勤める人など) | 年収 | 10,157人 |
「社労士の年収」をひとつの数字で言うことはできません。自分がどの働き方を考えているのかによって、見るべき数字が変わります。
個人で開業している社労士の所得:中央値200万円
個人で事務所を開業している社労士の、社労士としての事業所得は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 平均 | 436.3万円 |
| 中央値 | 200.0万円 |
所得の区分ごとの割合は次のとおりです。
- 「収入なし」と「300万円未満」を合わせると52.0%。個人で開業している社労士の半数以上は、社労士としての所得が300万円に届いていません。
- 一方で、所得1,000万円前後以上の層(900万円以上の合計)も11.8%あります。
この数字には、開業したばかりの人や、ほかの仕事と兼ねている人も含まれています。
社労士の仕事で主に稼いでいる人に絞ると
調査では、開業5年未満の人と、所得300万円未満の人を除いて、開業年数ごとの所得の中央値も出しています。社労士の仕事で主な収入を得ている人の実態に近づけるための集計です。
| 開業年数 | 所得の中央値(開業5年未満・所得300万円未満を除く) |
|---|---|
| 5〜9年 | 573.5万円 |
| 10〜19年 | 600.0万円 |
| 20〜29年 | 600.0万円 |
| 30年以上 | 630.0万円 |
社労士の仕事で生計を立てている個人開業の人は、所得600万円前後が中心で、開業年数を重ねても大きくは伸びていません。調査の報告書も「開業年数を重ねると高くなる傾向にはあるものの、それほど顕著な差は出ていない」とまとめています。
社労士法人の社員の役員報酬:中央値600万円
社労士法人の社員(法人の役員として働く社労士)の役員報酬は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 平均 | 1,206.5万円 |
| 中央値 | 600.0万円 |
区分ごとの割合は、「収入なし」5.3%、「300万円未満」19.0%、「300万〜600万円未満」19.1%、「600万〜900万円未満」20.2%、「900万〜1,200万円未満」11.6%、「1,200万〜1,500万円未満」7.3%、「1,500万〜2,000万円未満」4.2%、「2,000万円以上」5.4%です。
個人開業と比べると、低い区分に集中しておらず、600万〜900万円の層がいちばん厚くなっています。法人化している事務所は売上の規模が大きい傾向があり、それが役員報酬にも表れていると考えられます。
勤務等の社労士の年収:300万〜600万円が最多
会社や社労士事務所に勤めている人など、「勤務等」として登録している社労士の年収は次のとおりです。
| 年収 | 割合 |
|---|---|
| 収入なし | 3.5% |
| 300万円未満 | 16.8% |
| 300万〜600万円未満 | 38.0% |
| 600万〜900万円未満 | 25.0% |
| 900万〜1,200万円未満 | 10.7% |
| 1,200万〜1,500万円未満 | 3.4% |
| 1,500万〜2,000万円未満 | 1.5% |
| 2,000万円以上 | 0.9% |
最も多いのは「300万〜600万円未満」で、600万円以上は合わせて41.5%です。調査では、勤務等の社労士の年収について平均値と中央値は公表されていません。
なお、この年収は社労士としての仕事だけの収入とは限りません。人事部などで働きながら社労士登録をしている人も含まれています。
開業の「売上」と「所得」は別物
個人で開業する社労士について、売上と所得を並べると、違いがよくわかります。
| 項目 | 中央値 | 平均 |
|---|---|---|
| 事務所の年間売上(個人事務所の代表と法人の代表社員) | 550.0万円 | 1,657.9万円 |
| 個人事業の所得(個人で開業) | 200.0万円 | 436.3万円 |
売上には、事務所の家賃、ソフトの利用料、スタッフの人件費、会費などの経費が含まれています。「売上550万円」は「年収550万円」ではありません。開業を考えるときは、売上の目標と、手元に残したい所得の目標を分けて考えることが大切です。
売上の分布や、顧問先の数ごとの売上は社労士の売上の実態で詳しく解説しています。
開業して年収を上げるには
調査の数字から言えるのは、次の3つです。
- 所得の土台は売上:所得は売上から経費を引いたものです。まず売上を、顧問先の数と単価に分けて考えます(売上アップの考え方)。
- 1人で回せる量には上限がある:開業社労士の事務所は、所長1人だけのところが56.4%です。売上を伸ばすと仕事量も増えるので、どこかで人を雇うか、仕組みで手間を減らす必要があります。
- 法人化している事務所は役員報酬の水準が高い:法人の社員の役員報酬の中央値は600万円で、個人開業の所得の中央値200万円を大きく上回ります。ただし、法人化したから報酬が上がるのではなく、規模が大きくなった事務所が法人化している面もあるので、順番を取り違えないようにしましょう。
これから開業する方は、社労士の開業ガイド【2026年版】で、開業後5年の売上の実態もあわせて確認してください。
売上1,000万円・3,000万円の事務所が、どんな人数・顧問先数で回っているかは社労士の年収1000万・3000万でデータを見ながら整理しています。これからの需要の変化や、AI・電子申請で仕事がどう変わるかは社労士の将来性でデータとともに整理しています。
よくある質問
社労士の平均年収はいくらですか?
働き方によって違います。2024年度の実態調査では、個人で開業している社労士の所得の平均は436.3万円(中央値200.0万円)、社労士法人の社員の役員報酬の平均は1,206.5万円(中央値600.0万円)です。勤務等の社労士は平均値が公表されておらず、「300万〜600万円未満」が38.0%で最も多くなっています。
社労士で年収1,000万円は可能ですか?
可能ですが、多数派ではありません。個人で開業している社労士のうち、所得900万円以上の人は合わせて11.8%です。社労士法人の社員では、役員報酬900万円以上が合わせて28.5%です。
開業と勤務、どちらが年収は高いですか?
中央値で比べると、個人開業の所得(200万円)は低く見えますが、開業したばかりの人や兼業の人も含んだ数字です。社労士の仕事で主に稼いでいる開業5年以上の人に絞ると、所得の中央値は600万円前後です。勤務等の社労士は300万〜600万円の層が最も多く、600万円以上が41.5%です。どちらが高いかは一概には言えず、開業の場合は事務所の売上の伸ばし方しだいで大きく変わります。
出典
- 全国社会保険労務士会連合会・社会保険労務士総合研究機構「2024年度社会保険労務士実態調査」詳細版(2024年11月8日公表)。「23.個人事業の所得」「24.法人の社員の役員報酬」「40.年収」「22.年間売上(収入)金額」
https://www.shakaihokenroumushi.jp/Portals/0/doc/nsec/souken/2024/202411_2024srchousa_shousai.pdf
調査期間は2024年4月24日〜6月9日。有効回答は25,408人(回収率56.0%)。個人事業の所得は個人で事務所を開業している社労士(13,061人)、役員報酬は社労士法人の社員(2,190人)、年収は勤務等の社労士(10,157人)の回答です。
