会員の方は 会員ログイン ›

社労士が顧問先を増やす方法|顧問先数の平均と、紹介に頼らない5つの開拓の入口

「顧問先をあと10社増やしたい。でも、どこから手をつければいいかわからない」。社労士事務所の支援の現場で、いちばん多く聞く相談です。全国の実態調査でも、開業社労士の63.7%が「顧客獲得の難しさ」に不安やストレスを感じていると答えています。この記事では、顧問先の数の実態を確かめたうえで、紹介だけに頼らずに顧問先を増やす方法を整理します。

この記事の要点

  • 開業社労士の事務所の顧問先の数は平均33.2社、中央値10.0社。0社が16.5%、1〜9社が28.2%。
  • 「顧客獲得の難しさ」に不安を感じる人は63.7%。開業5年未満では72.5%にのぼる。
  • 顧問先を増やす入口は5つ。①紹介の仕組み化 ②ホームページと記事 ③SNS・ブログでの発信 ④セミナー・勉強会 ⑤ほかの専門家との連携。
  • 入口を増やす前に「誰の、どんな困りごとを助ける事務所か」を一言で言えるようにする。

社労士の顧問先の数:平均33.2社、中央値10.0社

全国社会保険労務士会連合会の「2024年度社会保険労務士実態調査」によると、個人事務所の代表と社労士法人の代表社員14,469人の顧問契約社数は、平均33.2社、中央値10.0社です。

顧問先の数割合売上の中央値
0社16.5%20万円
1〜9社28.2%200万円
10〜19社13.3%600万円
20〜29社8.8%900万円
30〜39社6.6%1,200万円
40〜49社4.0%1,500万円
50〜59社4.1%2,000万円
60〜99社6.4%2,300万〜3,200万円
100社以上8.3%5,500万円

※無回答3.8%。「60〜99社」は調査の4つの区分の割合を足した値です。

平均の33.2社は、100社以上を抱える一部の事務所に引っぱられた数字です。ふつうの事務所の姿は、中央値の10社です。顧問先が10社未満の事務所が44.7%と、半数近くを占めています。

そして、顧問先の数は売上をいちばんはっきり分けます。顧問先10〜19社で売上の中央値は600万円、30〜39社で1,200万円です。顧問先を増やすことは、売上を増やすことの土台です。

開業5年未満の72.5%が「顧客獲得」に悩んでいる

同じ調査では、社労士としての仕事で感じる不安やストレスも聞いています。「顧客獲得の難しさ」に「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた人は、開業年数で次のように変わります。

開業年数顧客獲得の難しさに不安を感じる
5年未満72.5%
5〜9年64.8%
10〜14年60.8%
15〜19年60.0%
20〜24年58.3%
全体63.7%

開業してすぐの時期ほど悩みは大きく、20年以上続けても半数を超える人が不安を感じています。顧問先の獲得は、年数を重ねれば自然に解決する悩みではありません。入口を仕組みとしてつくれるかどうかが分かれ目です。

顧問先を増やす前に決めること:誰の、どんな困りごとを助けるか

入口づくりの前に、ひとつ決めておくことがあります。「誰の、どんな困りごとを助ける事務所か」を一言で言えるようにすることです。

「労務のことなら何でもご相談ください」という事務所は、紹介する人にとって説明しにくく、検索した人の目にも止まりにくいものです。たとえば次のように、相手と困りごとを絞ると、入口がつくりやすくなります。

  • 「従業員10〜50人の建設会社の、採用と定着を支援する事務所」
  • 「創業3年以内の会社の、はじめての就業規則と労務の仕組みづくりを支援する事務所」
  • 「医療・介護の事業所の、人が辞めない職場づくりを支援する事務所」

絞ると依頼が減るように感じますが、実際には逆です。「うちのことだ」と思ってもらえる相手が、はっきり反応するようになります。

顧問先を増やす5つの入口

① 紹介を「仕組み」にする

支援の現場で見ると、多くの事務所の主な入口は紹介です。紹介はありがたいものですが、待っているだけでは、いつ来るかわかりません。紹介を仕組みにするには、次の3つを用意します。

  • 紹介してほしい相手を、顧問先や知り合いにはっきり伝える(上で決めた「誰の、どんな困りごと」)。
  • 紹介するときに渡せる材料を用意する。小冊子、チェックシート、セミナーの案内など。
  • 紹介してくれた人に、その後どうなったかを報告し、お礼を伝える。

くわしくは紹介が自然に生まれる「紹介エンジン」構築術で解説しています。

② ホームページと記事で「見つけてもらう」

会社の社長や担当者は、困ったときにまず検索します。そのときに見つけてもらえる場所がなければ、選ばれる機会がありません。

実態調査では、事務所のホームページを開設している割合は、売上500万円未満の事務所で26.4%、1,000万〜2,000万円未満で48.1%、1億円以上で88.8%です(相関であり、因果ではありません)。

ホームページは、事務所概要と料金表だけでは問い合わせにつながりにくいものです。顧問先候補が検索する困りごと(「就業規則 作り方」「残業代 計算」など)に答える記事を置き、そこから相談につなげます。

③ SNS・ブログで発信し続ける

SNSやブログは、すぐに顧問先が増える入口ではありません。けれど、「この人に頼みたい」と思ってもらう信頼を積み上げる場所です。紹介された相手も、たいてい事務所の名前を検索して、どんな人かを確かめます。

大切なのは、続けることです。時間がなくて続かない場合は、生成AIで下書きを作るなど、仕組みで続けられる形にします。

④ セミナー・勉強会を開く

法改正、助成金、採用、ハラスメント対策など、会社が知りたいテーマでセミナーを開くと、一度に複数の会社と出会える入口になります。オンラインなら会場も要りません。

セミナーで大事なのは、その場で売り込まないことです。役に立つ話をして、個別の相談を希望する方だけを次につなげます。

⑤ ほかの専門家と連携する

税理士、司法書士、行政書士、金融機関、保険の代理店など、会社の社長と日ごろ接している専門家は、労務の相談を受けることがあります。お互いの得意分野を紹介し合える関係をつくると、継続的な入口になります。

連携するときは、自分が紹介を受けるだけでなく、相手に紹介できる案件や情報を返すことが長続きのコツです。

入口ごとの特徴

入口成果が出るまで費用向いている事務所
① 紹介の仕組み化早いほぼかからない顧問先がすでにいる事務所
② ホームページと記事数か月〜1年制作費・時間長く安定した入口がほしい事務所
③ SNS・ブログ数か月〜時間人柄や考え方で選ばれたい事務所
④ セミナー・勉強会早い〜数か月少しかかる話すことが得意な事務所
⑤ 専門家との連携関係づくり次第ほぼかからない地域で長く活動したい事務所

すべてを一度に始める必要はありません。すぐ成果が出やすい入口(①④)と、時間をかけて育てる入口(②③)を1つずつ組み合わせるのがおすすめです。

顧問先が増えたときに困らないために

入口がうまく回りはじめると、次は「受けきれない」という悩みが出てきます。顧問先が30社を越えるあたりから、所長1人では手が回らなくなるのがふつうです。

実態調査で売上が上位25%に入る事務所を見ると、開業5〜9年で顧問先35〜50社・従業員3〜4人になっています。顧問先を増やす計画と同時に、仕事の手順化と、人の採用も考えておきましょう。段階ごとに変えることは社労士の売上1,000万円・3,000万円の壁で解説しています。

よくある質問

社労士の顧問先の数の平均は何社ですか?

全国社会保険労務士会連合会の2024年度実態調査では、平均33.2社、中央値10.0社です。平均は100社以上の大きな事務所に引っぱられているので、ふつうの事務所の姿は中央値の10社と考えるのが実態に近いでしょう。

顧問先は何社あれば生活できますか?

実態調査の売上の中央値では、顧問先10〜19社で600万円、20〜29社で900万円です。売上と手元に残る所得は別なので、事務所の経費や働き方によって変わりますが、まずは10社を最初の目標にする事務所が多くあります。

営業が苦手でも顧問先は増やせますか?

増やせます。売り込む営業ではなく、困っている会社に見つけてもらう入口(ホームページ・記事・セミナー)と、紹介の仕組みをつくれば、相手から相談が来る形にできます。初回の相談から顧問契約までの進め方は社労士の営業方法で解説しています。

出典

顧問先の数と売上は、個人事務所の代表と社労士法人の代表社員(14,469人)の回答です。不安やストレスは、開業社労士(開業+法人の社員)15,251人の回答です。