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社労士の開業準備の流れ|合格から開業登録・届出・開業後1年までのチェックリスト

社労士として開業すると決めたら、何から始めればいいのか。この記事では、合格から開業登録、税務署への届出、開業後の最初の1年までを、順番どおりに整理しました。手続きは調べればわかりますが、順番を間違えると、時間もお金もむだになります。最後に、そのまま使えるチェックリストもつけています。

この記事の要点

  • 開業登録は、入会する都道府県の社労士会に申請する。2025年7月15日からマイナポータルでのオンライン申請ができる。
  • 登録には2年以上の実務経験か事務指定講習の修了が必要。費用は登録免許税3万円+手数料3万円に、社労士会の入会金と年会費。
  • 税務署には、開業した年の確定申告の期限までに開業届、開業から2か月以内に青色申告の承認申請(年の途中で開業した場合)。開業届は早めに出しておくと安心です。
  • 手続きより先に、「誰に・何を・いくらで・どう知ってもらうか」を決めておくと、開業後の動き出しが変わる。

開業準備の全体の流れ

時期やること
開業の3〜6か月前事業の中身(誰に・何を・いくらで)を決める。事務所の場所を決める
開業の2〜3か月前登録の条件を満たす(実務経験の証明 または 事務指定講習)。社労士会に入会の手続きを確認する
開業の1〜2か月前開業登録を申請する。ホームページ・名刺・料金表を用意する
登録後〜開業直後税務署に開業届と青色申告の申請。賠償責任保険、電子申請の準備
開業後1年最初の顧問先を増やす入口を回す。毎月、数字で振り返る

登録にかかる日数は、社労士会や時期によって違います。開業したい日から逆算して、早めに入会予定の社労士会に問い合わせるのが確実です。

ステップ1:事業の中身を決める(手続きより先に)

開業準備というと手続きから始めがちですが、いちばん先にやるべきことは、どんな事務所にするかを決めることです。

  1. 誰に:どんな業種・規模の会社の、どんな困りごとを助けるか。
  2. 何を:手続と給与計算だけでなく、相談・規程づくり・採用や定着の支援など、何を商品にするか。
  3. いくらで:顧問報酬とスポットの料金をどう決めるか。開業時の料金は、あとから上げにくいものです。
  4. どう知ってもらうか:紹介以外に、会社が事務所を知る入口をどうつくるか。

全国社会保険労務士会連合会の「2024年度社会保険労務士実態調査」では、開業5年未満の事務所の売上の中央値は135万円、「収入なし」が17.1%です。何も決めずに開業すると、売上が立つまでに時間がかかります。料金の決め方は社労士の顧問報酬の決め方で解説しています。

事務所の場所を決める

実態調査では、開業社労士の事務所が自宅の中にある割合は49.1%です。最初は自宅で始めて、固定費を抑える人も多くいます。自宅で開業する場合は、来客の対応、郵便物、書類の保管場所、家族との兼ね合いを考えておきましょう。

事務所の形を決める

開業社労士の85.6%は個人事務所、一人法人は4.8%、社員が2人以上の社労士法人は9.4%です。はじめは個人事務所で開業し、売上や人数が増えてから法人化を考えるのが一般的です。

ステップ2:登録の条件を満たす

社労士として登録するには、社労士試験に合格したうえで、次のどちらかが必要です。

  • 労働社会保険諸法令に関する2年以上の実務経験(従事期間証明書で証明)
  • 連合会が実施する事務指定講習の修了(実務経験が2年に満たない場合)

実態調査で開業直前の職業を見ると、会社員(社労士事務所・社労士法人の従業員を除く)が46.5%、社労士事務所・社労士法人の従業員が21.0%です。事務所で働いた経験がないまま開業する人のほうが多いので、経験がないこと自体を不安に思いすぎる必要はありません。

都道府県会ごとの入会金・年会費の違いと、毎年かかる維持費は社労士の年会費・登録料・維持費で比べています。勤務から独立する方は社労士の独立ガイドもあわせてどうぞ。

ステップ3:開業登録を申請する

申請先と、オンライン申請

登録の申請は、入会予定の都道府県の社労士会に出します。2025年7月15日からは、マイナポータルを使ったオンライン申請ができるようになりました。

登録を受けると、都道府県の社労士会の会員になります。入会するのは、開業する事務所の住所の区域にある社労士会です。オンライン申請では社労士会への入会手続きはできないので、申請とあわせて、社労士会での入会手続きも必ず行います。

オンライン申請で用意するもの

用意するもの注意点
マイナンバーカード読み取り用のスマートフォン(パソコンで申請する場合は読み取り機器)
顔写真のデータ正面向き・申請日から6か月以内に撮影したもの
試験の合格年月日と合格番号合格証書の添付は不要。番号の入力が必要
従事期間証明書 または 事務指定講習の修了年月日・修了番号実務経験か講習のどちらか

入会する社労士会によっては、ほかの書類が必要になることがあります。

登録にかかる費用

項目金額
登録免許税30,000円
登録手数料30,000円
都道府県会の入会金・年会費社労士会ごとに違う

例として、東京都社会保険労務士会の開業会員の場合、入会金は50,000円、年会費は96,000円です。費用のくわしい内訳は社労士の開業ガイド【2026年版】にまとめています。

すでに勤務等で登録している場合

勤務先の会社などで登録している方が開業する場合は、新しく登録するのではなく、会員の種別を変える手続きになります。手続きの方法は所属の社労士会によって違うので、開業の予定が決まったら早めに問い合わせましょう。

ステップ4:税務署に届け出る

個人事務所として開業する場合は、税務署に次の2つを出します。

書類提出の期限
個人事業の開業届出書事業を始めた年分の確定申告の期限まで(早めに出すのがおすすめ)
所得税の青色申告承認申請書業務を始めた日から2か月以内(1月1日〜1月15日に始めた場合は、その年の3月15日まで)

青色申告にすると、帳簿をつける手間は増えますが、所得から差し引ける控除などの特典があります。開業届と同時に出しておくと、期限を忘れずにすみます。

ステップ5:開業してすぐ使う道具を準備する

賠償責任保険

実態調査では、事務所の76.2%が社会保険労務士賠償責任保険に加入しています。開業5年未満の事務所では64.0%とやや低くなっていますが、手続のミスで顧問先に損害が出たときの備えとして、開業と同時に検討しておきましょう。

電子申請

手続の電子申請を「7割以上利用している」事務所は52.3%、30歳代の所長では69.4%です。一方で「利用していない」も32.8%あります。これから開業するなら、最初から電子申請を前提に、手続のソフトとあわせて準備しておくと、あとで仕事のやり方を変える手間が省けます。

事務所の「入口」

ホームページ、名刺、料金表、事務所の紹介資料を、開業と同時に用意します。実態調査では、開業社労士の事務所の50.8%が「特段情報発信はしていない」と答えていますが、売上の高い事務所ほどホームページを開設している割合が高くなっています(相関であり、因果ではありません)。

ステップ6:開業後1年の動き方

開業後の1年は、最初の顧問先を増やす入口を回すことに集中します。

  • 知り合いに、開業したことと「誰の、どんな困りごとを助けるか」を一人ひとりに伝える。
  • 無料の相談会やセミナーを開いて、初回相談の型を身につける。
  • ホームページやSNSで、顧問先候補が検索する困りごとへの答えを発信し続ける。
  • 毎月、問い合わせの数・初回相談の数・契約の数を記録して振り返る。

顧問先を増やす入口は社労士が顧問先を増やす方法、初回相談の進め方は社労士の営業方法、開業後の売上の現実は社労士の開業の現実で解説しています。

開業準備チェックリスト

開業前

  • □ 誰の、どんな困りごとを助ける事務所かを一言で言える
  • □ 顧問報酬とスポットの料金表がある
  • □ 事務所の場所(自宅か外か)を決めた
  • □ 実務経験の証明書、または事務指定講習の修了証がある
  • □ 入会予定の社労士会に、手続きと日数を問い合わせた
  • □ マイナンバーカードと顔写真のデータを用意した
  • □ 開業登録を申請し、社労士会の入会手続きも済ませた

開業直後

  • □ 税務署に開業届を出した(確定申告の期限まで。青色申告の申請と一緒に出すと忘れない)
  • □ 青色申告の承認申請を出した(2か月以内)
  • □ 賠償責任保険の加入を検討した
  • □ 電子申請と手続のソフトを準備した
  • □ ホームページ・名刺・料金表・紹介資料ができた
  • □ 知り合いに、開業したことを一人ひとりに伝えた

よくある質問

社労士の開業登録には、どれくらいの日数がかかりますか?

連合会のオンライン申請の案内には、登録までの日数は書かれていません。社労士会や時期によって違うので、開業したい日が決まったら、入会予定の社労士会に早めに問い合わせてください。

開業届は、社労士の登録より先に出してもいいですか?

開業届の提出期限は、国税庁の案内で「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」とされています。社労士の仕事を始められるのは登録を受けてからなので、登録後、事業を始める日に合わせて出すのが自然です。青色申告の承認申請(開業から2か月以内)と一緒に出しておくと、出し忘れを防げます。

会社に勤めながら開業の準備はできますか?

事業の中身を決める、料金表を作る、ホームページを用意する、といった準備は、勤めながらでも進められます。開業登録や、勤務先の就業規則(副業の扱いなど)については、事前に確認しておきましょう。

出典

手続き・費用・期限は2026年10月19日時点(開業届の提出期限は2026年10月23日に再確認)で各発表元のページを確認した内容です。社労士会ごとの手続きや費用は、所属予定の社労士会にご確認ください。