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社労士の開業ガイド【2026年版】費用・手続き・開業後5年の売上の現実

社労士試験に合格して、開業を考えはじめた方へ。開業の手続きと費用は、調べればすぐにわかります。むずかしいのは、開業してから何で売上を立てるのかです。この記事では、手続きと費用を最新の公表データで押さえたうえで、開業後5年間の売上の実態と、開業前に決めておきたいことを整理します。

この記事の要点

  • 社労士の登録者は47,407人(2026年8月31日現在)。うち開業は25,136人(2026年3月31日現在)。
  • 登録には、2年以上の実務経験か、連合会の事務指定講習の修了が必要。2025年7月15日からオンライン申請ができる。
  • 登録費用は全国共通で6万円(登録免許税3万円+登録手数料3万円)。これに都道府県会の入会金と年会費がかかる。
  • 開業5年未満の売上の中央値は135万円。17.1%は「収入なし」。
  • 目指したいのは初年度に中央値の550万円、2年目に1,000万円。そのために開業前に「誰に・何を・いくらで・どう知ってもらうか」を決めておく。

2026年の社労士の数と、開業している人の数

登録者数

厚生労働省の発表によると、社労士の登録者数は47,407人(2026年8月31日現在)です。

全国社会保険労務士会連合会の事業報告では、2026年3月31日現在の会員の内訳は次のとおりです。

区分2025年3月31日2026年3月31日増減
開業24,819人25,136人+317人
法人の社員4,127人4,362人+235人
勤務等17,291人17,667人+376人
合計46,237人47,165人+928人

社労士法人は3,301法人(2026年3月31日現在、前年から198法人増)です。開業社労士は1年で317人増えています。

試験の合格者

2026年度(第58回)社労士試験は、受験者42,510人に対して合格者3,961人、合格率9.3%でした。前年(第57回)の合格者2,376人、合格率5.5%から大きく増えています。

合格者が増えるということは、これから開業する人も増えるということです。「資格を持っている」だけでは選ばれにくくなるので、どんな事務所として選ばれるかを開業前から考えておく必要があります。

開業の条件と手続き

社労士として開業するには、全国社会保険労務士会連合会に備える名簿への登録と、都道府県の社労士会への入会が必要です。

登録の条件

社労士試験に合格したうえで、次のどちらかが必要です。

  • 労働社会保険諸法令に関する2年以上の実務経験
  • 実務経験が2年に満たない場合は、連合会が実施する事務指定講習の修了

実務経験の証明には、従事期間証明書か、事務指定講習の修了証の写しを使います。

オンライン申請

2025年7月15日から、マイナポータルを使ったオンラインでの登録申請ができるようになりました。オンライン申請では、登録免許税を収入印紙ではなくオンライン決済で納めます。

開業にかかる費用

登録の費用(全国共通)

項目金額
登録免許税30,000円
登録手数料30,000円
合計60,000円

都道府県会の入会金と年会費

入会金と年会費は、都道府県の社労士会ごとに違います。例として、東京都社会保険労務士会の開業会員(法人の社員を含む)の場合は次のとおりです。

項目金額
入会金50,000円
年会費96,000円(入会年度は月8,000円の月割り)

東京都で開業登録する場合、登録費用の6万円とあわせて、初年度は年会費の月割り分を含めて十数万〜20万円程度がかかります。ほかの道府県で開業する場合は、所属する社労士会の案内を確認してください。

そのほかの費用

このほかに、事務所の家賃、パソコンや電話、手続きのためのソフト、ホームページ、名刺などの費用がかかります。実態調査では、事務所が自宅の中にある開業社労士が49.1%と約半数です。最初は自宅で始めて、固定費を抑える人も多くいます。

開業後の売上の現実:5年未満の中央値は135万円

全国社会保険労務士会連合会の「2024年度社会保険労務士実態調査」では、開業年数ごとの事務所の売上は次のとおりです。

開業年数売上の中央値
5年未満135万円
5〜9年500万円
10〜14年660万円
15〜19年800万円
20〜24年900万円

開業5年未満では、「収入なし」が17.1%、「500万円未満」が49.4%です。開業してから数年は、売上が思うように立たないのがふつうだと考えておいたほうがよいでしょう。

一方で、売上が全体の上位25%に入る事務所を見ると、30歳前後で開業した場合は、開業5年未満で売上600万円(所長1人・顧問先12.5社)、開業5〜9年で2,800万円(4人・顧問先50社)まで伸びています。開業直後は1人・顧問先10社前後から始まるのは同じで、差がつくのはその後です。

全体の売上の分布や、顧問先の数と売上の関係は社労士の売上の実態にまとめています。

開業する人は、どこから来ているか

同じ調査で、開業社労士に開業直前の職業を聞いた結果は次のとおりです。

  • 会社員(社労士事務所・社労士法人の従業員を除く):46.5%
  • 社労士事務所・社労士法人の従業員:21.0%

開業する人の半数近くは、社労士事務所で働いた経験のない会社員です。事務所の勤務経験がないまま開業する人のほうが多数派なので、経験がないこと自体を不安に思いすぎる必要はありません。ただし、実務の型と、顧問先を見つける方法は、開業してから自分で身につけていくことになります。

また、開業社労士の事務所は所長1人だけのところが56.4%です。開業直後は、手続も営業も経理も、すべて自分ひとりで回すことになります。

開業前に決めておきたい4つのこと

手続きと費用より先に、次の4つを決めておくと、開業後の動き方が変わります。

  1. 誰に:どんな業種・規模の会社の、どんな困りごとを助ける事務所か。
  2. 何を:手続と給与計算だけでなく、採用・定着・評価・組織づくりなど、どんな支援を商品にするか。
  3. いくらで:顧問料と、スポットの仕事の価格をどう決めるか。開業時の価格は、あとから上げにくいものです。
  4. どう知ってもらうか:紹介以外に、新しい会社が事務所を知る入口をどうつくるか。

実態調査では、開業社労士の事務所の50.8%が「特段情報発信はしていない」と答えています。売上が高い事務所ほどホームページなどで発信している割合が高く、売上1億円以上の事務所で発信をしていないのは9.0%だけです(相関であり、発信すれば売上が上がるという意味ではありません)。開業と同時に、事務所の情報を届ける入口を用意しておくことをおすすめします。

開業前に「何の事業をするのか」を決める考え方は、noteの記事「社労士の開業は、流れと費用より先に「何の事業か」を決める」でくわしく書いています。

開業後の売上の目標の立て方:初年度550万円、2年目1,000万円

売上の目標は、顧問先の数に置きかえると具体的になります。実態調査の、顧問先の数ごとの売上の中央値は次のとおりです。

顧問先の数売上の中央値
1〜9社200万円
10〜19社600万円
20〜29社900万円
30〜39社1,200万円
80〜89社3,000万円
100社以上5,500万円

フツーの社労士脱却研究所では、次の段階を目安に支援しています。

時期売上の目安全国での位置顧問先などの目安
開業1年目550万円中央値。全国の事務所の半数はここに届いていない顧問先10社前後
2年目1,000万円1,000万円以上は全体の33.8%顧問先25〜30社
3〜5年目3,000万円3,000万円以上は全体の12.6%顧問先80社前後、または単価アップとスタッフの採用
5〜8年目5,000万円〜1億円5,000万円以上は6.6%、1億円以上は2.2%高単価の商品と、任せられる組織

全国の実態では、開業5年未満の売上の中央値は135万円です。何も設計しないまま開業すると、初年度に550万円へ届くことはまずありません。初年度に顧問先を10社前後まで増やすには、開業前から「誰に・何を・いくらで・どう知ってもらうか」を決め、紹介以外の入口を用意しておく必要があります。

2年目に1,000万円を目指すなら、1年で顧問先を15社前後増やす計画になります。そこから先、3,000万円の段階では所長1人で回せる量を超えるので、スタッフの採用や仕組み化が欠かせません。

段階ごとの打ち手は、社労士の売上アップは「顧問先数×単価」の逆算からで解説しています。

よくある質問

実務経験がなくても開業できますか?

できます。実務経験が2年に満たない場合は、連合会が実施する事務指定講習を修了すれば登録できます。実態調査でも、開業直前に社労士事務所で働いていた人は21.0%で、会社員から開業した人(46.5%)のほうが多くなっています。

自宅で開業しても大丈夫ですか?

自宅で開業している人は多く、実態調査では事務所が自宅の中にある開業社労士が49.1%です。ただし、来客や郵便物の扱い、家族との兼ね合いなどは、開業前に考えておきましょう。

開業してどれくらいで食べていけますか?

全国の実態では、開業5年未満の売上の中央値は135万円、5〜9年で500万円です。何も準備せずに開業すると、生活費をまかなえる売上になるまで数年かかるのがふつうです。一方で、開業前から顧問先を増やす入口を設計しておけば、初年度に中央値の550万円、2年目に1,000万円を目指すことはできます。開業前の貯えや、勤務を続けながら準備する期間もあわせて考えておくと安心です。

開業にかかる費用はいくらですか?

登録費用は全国共通で6万円(登録免許税3万円+登録手数料3万円)です。これに都道府県の社労士会の入会金と年会費がかかります。東京都の開業会員の場合、入会金は5万円、年会費は9万6,000円です。

出典

費用・会員数・試験結果は2026年10月12日時点で各発表元のページを確認した内容です。入会金・年会費は社労士会ごとに異なり、改定されることがあります。