社労士の集客方法13選|紹介頼みを抜け出す順番を、全国の実態データで解説
「開業したけれど、顧問先が増えない」「紹介が止まると、新しい仕事が入ってこない」。社労士事務所の集客の悩みは、ほとんどがこの2つです。この記事では、社労士の集客方法を13種類に分けて比べ、全国の実態調査の数字と、600以上の社労士事務所が加盟したサービスを運営してきた経験をもとに、どの順番で始めればいいかを整理します。
この記事の要点
- 開業社労士の63.7%が「顧客獲得の難しさ」に不安を感じている。開業5年未満では72.5%。
- それなのに、事務所の50.8%は特に何も発信していない。顧問先0社の事務所では68.7%、100社以上の事務所では19.6%。
- 集客の方法は13種類。費用をかけずに今日から始められるのは、紹介の仕組み・ホームページ・Googleビジネスプロフィール・ブログ。
- 集客は「1.0 紹介頼み → 2.0 ホームページ → 3.0 手作業の発信 → 4.0 仕組みで発信し続ける」の順に進化する。いま自分がどこにいるかを知ることが出発点。
社労士の集客が難しい3つの理由
1. 顧問先は「困ったとき」にしか探さない
社労士を探すのは、社長が「人を雇った」「トラブルが起きた」「助成金を使いたい」と思ったときです。困っていない時期に営業をしても、話を聞いてもらえません。だから社労士の集客は、困ったときに思い出してもらえる・見つけてもらえる状態を、ふだんからつくっておくことが中心になります。
2. 開業したばかりほど、悩みが大きい
全国社会保険労務士会連合会の「2024年度社会保険労務士実態調査」で、開業社労士に「顧客獲得の難しさ」に不安やストレスを感じるかを聞いた結果です。
| 開業してからの年数 | 「当てはまる」と答えた割合 |
|---|---|
| 5年未満 | 72.5% |
| 5〜9年 | 64.8% |
| 10〜14年 | 60.8% |
| 15〜19年 | 60.0% |
| 全体 | 63.7% |
(「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計)
開業5年未満では、4人に3人近くが顧客獲得に悩んでいます。年数がたっても6割前後が悩み続けているのは、紹介だけに頼った集客が、いつ止まるかわからないからです。
3. 半数の事務所が、何も発信していない
同じ調査で、宣伝や情報発信の方法を聞いた結果です。
| 宣伝・情報発信の方法 | 割合 |
|---|---|
| 事務所ホームページの開設 | 39.9% |
| ニュースレターなどの発行 | 16.6% |
| SNS(X、Facebookなど)での発信 | 9.3% |
| メールマガジンの配信 | 5.5% |
| マスコミ媒体を使った宣伝 | 2.5% |
| 駅の広告・看板 | 1.9% |
| YouTubeでの発信 | 1.7% |
| 特段情報発信はしていない | 50.8% |
(複数回答)
社長が社労士を探したとき、半分の事務所は見つける手がかりがありません。裏を返せば、発信している事務所は、それだけで選ばれやすい位置にいます。
顧問先が多い事務所ほど、発信している
調査を、顧問先の数と売上の区分ごとに見ると、差ははっきりしています。
| 顧問先の数 | ホームページを開設 | 特段発信していない |
|---|---|---|
| 0社 | 23.5% | 68.7% |
| 1〜9社 | 31.1% | 59.8% |
| 10〜19社 | 40.6% | 48.7% |
| 20〜29社 | 47.0% | 44.4% |
| 50〜59社 | 54.0% | 36.3% |
| 100社以上 | 72.5% | 19.6% |
| 年間売上 | ホームページを開設 | 特段発信していない |
|---|---|---|
| 500万円未満 | 26.4% | 64.0% |
| 500万〜1,000万円未満 | 40.9% | 49.8% |
| 1,000万〜2,000万円未満 | 48.1% | 41.2% |
| 3,000万〜5,000万円未満 | 66.2% | 24.7% |
| 1億円以上 | 88.8% | 9.0% |
これは「発信すれば顧問先が増える」という因果を示すものではありません。顧問先が多く人手のある事務所ほど、発信に手が回るという面もあるはずです。ただ、顧問先が100社を超える事務所の8割は、何らかの発信をしているのは事実です。
社労士の集客方法13選|手間・費用・効果が出るまでの早さ
| 方法 | 手間 | 費用 | 効果が出るまで | 向いている段階 |
|---|---|---|---|---|
| ① 紹介の仕組みづくり | 小 | ほぼ0 | 早い | すべて |
| ② 士業・金融機関との連携 | 中 | ほぼ0 | 中くらい | すべて |
| ③ ホームページ | 中 | 自作なら小 | 中くらい | すべて |
| ④ Googleビジネスプロフィール | 小 | 0 | 早い | 地域で選ばれたい事務所 |
| ⑤ ブログ・記事(検索) | 大 | 小 | 遅い(数か月〜) | すべて |
| ⑥ SNS(X・Facebook・Instagram) | 中 | 0 | 中くらい | 発信が苦にならない人 |
| ⑦ YouTube・動画 | 大 | 小〜中 | 遅い | 話すのが得意な人 |
| ⑧ セミナー・勉強会 | 中 | 小 | 早い | 話せるテーマがある人 |
| ⑨ ニュースレター・メルマガ | 中 | 小 | 中くらい | 名刺や接点がたまってきた人 |
| ⑩ ポータル・マッチングサイト | 小 | 成果報酬など | 早い | 開業直後の一時期 |
| ⑪ Web広告 | 小 | 中〜大 | 早い | 受け皿が整った事務所 |
| ⑫ DM・FAX・チラシ | 中 | 中 | 中くらい | 業種や地域を絞れる事務所 |
| ⑬ 交流会・飛び込み・電話 | 大 | 小 | 中くらい | 人と会うのが苦にならない人 |
(手間・費用・早さは、社労士事務所の支援の現場での目安です。地域や事務所の状況で変わります)
① 紹介の仕組みづくり
いちばん成約しやすい入口です。紹介は「待つ」のではなく「起きやすくする」ものです。紹介してほしい会社の特徴(業種・人数・困りごと)を具体的に伝え、渡しやすい小冊子やチェックシートを用意します。くわしくは紹介が自然に生まれる「紹介エンジン」構築術で解説しています。
② 士業・金融機関との連携
税理士、行政書士、弁護士、金融機関、保険代理店は、社長の困りごとをいちばん早く聞く立場にあります。「人のことで困っている会社がいたら」と頼める関係を、少数でも持っておくと、安定した入口になります。紹介し合う関係にするには、こちらからも相手に紹介を返すことが大切です。
③ ホームページ
紹介された社長も、ほとんどが一度はホームページを見てから連絡してきます。必要なのは立派なデザインより、①誰の・どんな困りごとに強いか、②料金、③所長の顔と考え方、④問い合わせる理由(無料相談、資料、チェックシート)の4つです。
④ Googleビジネスプロフィール
「〇〇市 社労士」と検索したときに、地図と一緒に出てくる欄です。登録は無料で、住所・営業時間・写真・サービス内容を入れるだけで、地域の検索に出やすくなります。地域の会社を顧問先にしたい事務所は、最初にやっておきたい施策です。
⑤ ブログ・記事(検索からの集客)
社長が検索する言葉(「就業規則 作り方」「助成金 申請 自分で」など)に答える記事を書き、ホームページやnoteに載せます。効果が出るまで数か月かかりますが、一度上位に入れば、寝ている間も入口になり続けます。タイトルの付け方は、noteの記事「社労士ブログが検索で見つからない原因は、タイトルの言葉にある」で解説しています。
⑥ SNS(X・Facebook・Instagram)
検索より早く、人柄と専門性を知ってもらえます。社長がよく使っているものを1つ選び、ブログの記事を知らせる・法改正をひと言で解説する、という使い方が続けやすい形です。
⑦ YouTube・動画
話すのが得意な方には強い入口です。ただし撮影と編集に手間がかかるため、まずは短い動画(1分程度)から始めるのがおすすめです。
⑧ セミナー・勉強会
「4月からの法改正、何が変わる?」のような、社長が知りたいテーマで小さな勉強会を開きます。役に立つ話をして、個別の相談を希望した方とだけ次の話をする流れにすると、売り込まずに相談が生まれます。
⑨ ニュースレター・メルマガ
一度つながった人と、関係を保ち続けるための道具です。「今は時期ではない」と言われた会社にも、法改正のお知らせを届け続けることで、困ったときに最初に思い出してもらえます。
⑩ ポータル・マッチングサイト
社労士を探している会社と出会えるサイトです。開業直後の一時期には役に立ちますが、ほかの事務所と料金で比べられやすいため、ずっと頼るのはおすすめしません。
⑪ Web広告
「社労士 就業規則」などで検索した人に広告を出す方法です。早く効果が出ますが、受け皿(ホームページ・料金・強み)が整っていないと、お金だけが出ていきます。順番は最後のほうです。
⑫ DM・FAX・チラシ
業種や地域を絞れる場合は、今でも効果があります。「建設業の方へ、〇〇の法改正のお知らせ」のように、相手に関係のある話題で送るのがコツです。
⑬ 交流会・飛び込み・電話
人と会うのが苦にならない方には、開業直後に接点を増やす手段になります。ただ、営業が苦手な方には、おすすめしません。続かないうえに、値引きを求められやすくなります。営業が苦手な方の進め方は社労士の営業方法で解説しています。
集客は「1.0 → 4.0」の順に進化する
13の方法を全部やる必要はありません。社労士事務所の集客は、多くの場合、次の順に進化していきます。自分の事務所がいまどこにいるかを確かめてください。
| 段階 | 集客のやり方 | よくある悩み |
|---|---|---|
| 1.0 紹介頼み | 顧問先や知り合いからの紹介を待つ | いつ、どこから来るか自分で決められない |
| 2.0 ホームページ | 事務所のサイトをつくって、見つけてもらうのを待つ | つくったきりで、問い合わせが来ない |
| 3.0 手作業の発信 | 所長が自分でブログやSNSを書いて発信する | 忙しい月に止まる。続かない |
| 4.0 仕組みで発信し続ける | 強みをもとに、生成AIと仕組みで発信を続け、反応を見て良くしていく | ― |
調査で見たとおり、半数の事務所は1.0のままです。2.0(ホームページ)まで進むだけで、地域の検索では上位に入りやすくなります。そして3.0で止まりがちなのが「続かない」壁です。手続で忙しい事務所ほど、発信は後回しになります。
いまは生成AIを使って、強みをもとにした記事づくりからSNSへの投稿までを仕組みにし、所長が書かなくても発信を続けることができます。当研究所が運営する法改正・助成金の一次情報メディア「労務ソース」も、毎日の記事の作成から公開、SNSでの告知までを仕組みで回しています。
売上の段階ごとに、まずやること
| 年間売上 | まずやること | 次にやること |
|---|---|---|
| 開業〜500万円 | 知り合い一人ひとりに「誰の、どんな困りごとを助けるか」を伝える/Googleビジネスプロフィール/ホームページ | 小さな勉強会、ブログを週1本 |
| 500万〜1,000万円 | 紹介の仕組みづくり(紹介してほしい相手を具体的に)/士業との連携 | ブログ・SNSで発信を続ける仕組み |
| 1,000万〜3,000万円 | 発信を仕組みにして、所長が書かなくても続く形に | セミナー、ニュースレター、顧問料の見直し |
| 3,000万円以上 | 業種や相談テーマに特化したページと発信 | 広告、スタッフに任せる集客 |
全国の実態調査では、開業社労士の売上の中央値は550万円です。半数の事務所は、上の表のいちばん上か、その次の段階にいます。
入口の中でも、事務所のホームページとブログは、作り方しだいで成果が大きく変わります。くわしくは社労士のホームページ集客と社労士のブログ集客にまとめています。
集客の入口をつくる5つのステップ
ステップ1:強みと、届けたい相手を決める
集客でいちばん大切なのは、発信の量より先に「誰の、どんな困りごとに強い事務所か」を決めることです。
- 相手:業種(介護、建設、医療など)、規模(10人未満、30〜99人など)、地域
- 困りごと:採用できない、人が辞める、残業が多い、評価に不満が出ている
- 強み:その困りごとを、これまでどう解決してきたか
「何でも相談できる社労士です」では、読む人の記憶に残りません。「〇〇業の、△△の悩みに強い事務所」と一言で言えるようにしましょう。強みを言葉にする方法は、noteの記事「社労士のプロフィールの書き方 経歴の前に置く3行」も参考になります。
ステップ2:見つけてもらったときの「受け皿」をつくる
ホームページに、①誰の困りごとに強いか、②料金表、③所長の顔と経歴・考え方、④問い合わせる理由、の4つをそろえます。事務所の概要と連絡先だけのホームページでは、問い合わせにつながりにくくなります。
ステップ3:発信を、続く形にする
ブログ(検索の入口)、SNS(人柄と専門性)、ニュースレター(関係を保つ)の3つを、無理のない頻度で続けます。続かない原因の多くは「書く時間がない」ことです。最初から、生成AIや外の手を借りて続く形を決めておきましょう。
ステップ4:紹介してくれる人に、渡しやすい材料を用意する
紹介してほしい会社の特徴を具体的に伝え、「これを渡すだけで喜ばれる」小冊子やチェックシートを用意します。発信した記事も、紹介の材料として使ってもらえます。
ステップ5:数字で振り返る
毎月、次の3つを見ます。
- ホームページを見た人の数(Googleアナリティクスなど)
- 問い合わせの数と、その入口(検索、SNS、紹介)
- 問い合わせから顧問契約になった数
反応のよかった記事やテーマを増やし、反応のない入口はやめます。発信を続けているのに顧問契約に届かない場合は、noteの記事「情報発信を続けても顧問契約に届かない事務所に共通すること」も参考にしてください。
やってはいけない集客
- 料金の安さで集める:安さで来た顧問先は、もっと安い事務所が出てくると離れていきます。あとから顧問料を上げるのも難しくなります。
- 「何でもやります」で発信する:誰の記憶にも残りません。強みと相手を決めてから発信します。
- ポータルサイトだけに頼る:料金で比べられ続けます。自分の入口(ホームページ・発信・紹介)を必ず持ちます。
- 集客を丸投げする:外に頼む場合も、事務所の強み・料金・誰に届けるかは、所長が決めます。問い合わせの数だけでなく、顧問契約になった数で効果を見ます。
- 3か月でやめる:検索からの集客は、効果が出るまで数か月かかります。一つの方法を半年は続けてから判断します。
よくある質問
社労士の仕事の取り方には、どんな方法がありますか?
紹介、士業や金融機関との連携、ホームページ、Googleビジネスプロフィール、ブログ・記事、SNS、YouTube、セミナー、ニュースレター、ポータルサイト、Web広告、DM、交流会・飛び込みの13種類が主な方法です。開業直後は、費用がかからず早く効く「紹介の仕組み」「Googleビジネスプロフィール」「ホームページ」から始めるのがおすすめです。
開業したばかりで実績がなくても、集客できますか?
できます。実績の代わりに「誰の、どんな困りごとを助けたいか」と、そう考える理由(前職の経験など)を伝えます。最初の数社には特に丁寧に対応し、その方々の声が次の紹介とホームページに書ける実績になります。開業後の道のりは社労士の開業の現実で解説しています。
地方の事務所でも、ネットで集客できますか?
できます。地方ほど、地域名で検索したときに出てくる社労士事務所は少なく、Googleビジネスプロフィールとホームページを整えるだけで上位に出やすくなります。また、業種や相談テーマに特化すれば、オンラインで全国から相談を受けることもできます。
ホームページは自分で作っても大丈夫ですか?
大丈夫です。大切なのは見た目より、「誰の、どんな困りごとに強いか」「料金」「所長の人柄」「問い合わせる理由」が書かれていることです。作ったあとに、ブログを書き続けられる形にしておきましょう。
集客は外注したほうがいいですか?
ホームページの制作や広告の運用など、手のかかる部分を外に頼むのはよい方法です。ただし、事務所の強み・料金・誰に届けるかは、所長が決める必要があります。外注先を選ぶときは、士業の集客の経験があるか、問い合わせの数だけでなく顧問契約になった数まで一緒に見てくれるかを確かめましょう。
発信にかける時間がありません
実態調査では、開業社労士の60.8%が「業務量の多さ」に不安を感じています。時間がないのは、多くの事務所に共通する悩みです。生成AIを使った記事づくりや、SNSへの自動投稿など、発信そのものを仕組みにする方法があります。
まとめ
- 開業社労士の63.7%(開業5年未満では72.5%)が顧客獲得に悩む一方、事務所の50.8%は特に発信をしていません。
- 顧問先が多い事務所ほど、ホームページを持ち、発信しています(相関であり、因果ではありません)。
- 集客の方法は13種類。まずは費用のかからない紹介の仕組み・ホームページ・Googleビジネスプロフィールから始めます。
- 集客は「1.0 紹介頼み → 2.0 ホームページ → 3.0 手作業の発信 → 4.0 仕組みで発信し続ける」と進化します。止まりやすいのは3.0の「続かない」壁です。
集客の考え方の全体像は社労士のマーケティング、顧問先が増えたあとの単価の上げ方は社労士の顧問料アップ完全ガイド、売上全体の考え方は社労士の売上アップの方法で解説しています。
出典
- 全国社会保険労務士会連合会・社会保険労務士総合研究機構「2024年度社会保険労務士実態調査」詳細版(2024年11月8日公表)。「20.宣伝や情報発信の有無、方法」(表20-2)「22.年間売上(収入)金額」「30.社労士としての職業生活において感じる不安やストレス」(表30-3)
https://www.shakaihokenroumushi.jp/Portals/0/doc/nsec/souken/2024/202411_2024srchousa_shousai.pdf(2026年10月20日確認)
宣伝・情報発信と売上は個人事務所の代表と社労士法人の代表社員(14,469人)、不安やストレスは開業社労士(開業と法人の社員、15,251人)の回答です。集客方法ごとの手間・費用・早さと、段階ごとの打ち手は、社労士事務所の支援の現場での経験にもとづく目安です。
