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社労士の料金表の作り方|顧問料・スポット・就業規則作成・給与計算の料金の決め方と、ホームページでの見せ方

開業の準備をしていると、どこかで必ず手が止まるのが「料金表」です。他の事務所のホームページを見比べても、金額も項目もばらばらで、何を基準にすればいいのかわかりません。それもそのはずで、社労士の料金表には、全国共通のひな形がありません。この記事では、料金表に何を載せるか、顧問料・スポット・就業規則作成・給与計算の料金をどう決めるか、ホームページでどう見せるかを順に整理します。

この記事の要点

  • 社労士の報酬の基準は、2002年の社労士法改正で社労士会の会則から削除された。料金表は各事務所が自分で作るもの。
  • 全国の事務所の売上は、平均で顧問契約71.9%・スポット28.1%。料金表も「顧問」と「スポット」の2本立てで考える。
  • 顧問料は従業員数と業務範囲の2つの軸で段階に分けると、説明しやすく、あとから上げやすい。
  • 就業規則・給与計算・助成金は、何が含まれていて、何が別料金かを料金表に書く。金額より、範囲のあいまいさが赤字の原因になる。
  • 事務所ホームページを開設しているのは39.9%。料金表を載せておくだけで、比べられる側から、選ばれる側に回りやすくなる。

社労士の料金表は、なぜ自分で作るのか

報酬の基準は2002年になくなった

かつては、社労士会の会則に報酬の基準が定められていました。しかし、2002年(平成14年)11月27日に公布された社会保険労務士法の改正で、社労士会と全国社会保険労務士会連合会の会則の記載事項から「報酬に関する規定」が削除されました。この部分は公布の日から施行されています。

それ以来、社労士の料金は、各事務所が自由に決めるものになっています。

業界で「目安の金額」を決めることも、独占禁止法上の問題になる

公正取引委員会は、2001年(平成13年)10月24日に「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」を公表しています(2010年1月1日改正)。この中で、資格者団体が標準額や目標額など、会員の報酬について共通の目安となる基準を設定することは、原則として独占禁止法に違反するという考え方が示されています。

一方で、会員が自分の報酬額を事務所に掲示するような取り決めは、問題とならない例として挙げられています。

つまり、「業界で決まった相場の表」はなく、これからも作られる見込みはありません。インターネットで見つかる「社労士の料金相場」の表は、各事務所の料金を誰かが集めたものか、昔の基準を参考にしたものです。自分の料金表は、自分の事務所の考え方で作り、それをはっきり示す。これが今のルールに合ったやり方です。

料金表がないと、何が起きるか

料金表がないまま開業すると、次のようなことが起きがちです。

  • 問い合わせのたびに金額を考えるので、顧問先ごとに料金がばらばらになる
  • 相手の反応を見て、つい安く言ってしまう
  • 「どこまでが顧問料に入っているか」を説明できず、作業だけが増えていく
  • ホームページに料金を載せられず、問い合わせる前に他の事務所へ流れてしまう

料金表は、お客さまに見せるための表であると同時に、所長が迷わずに見積もりを出すための社内ルールでもあります。

まず全体像:全国の事務所は何で売上を立てているか

料金表に載せる項目を決める前に、全国の事務所の売上の中身を見ておきましょう。全国社会保険労務士会連合会の「2024年度社会保険労務士実態調査」では、個人事務所の代表と社労士法人の代表社員14,469人に、売上の内訳を聞いています。

売上の種類平均の割合
顧問契約による売上71.9%
スポットの受注による売上28.1%

業務の種類ごとの売上の割合(平均)は次のとおりです。

業務の種類平均の割合
手続業務(手続に関連する相談も含む)41.5%
労働及び社会保険に関する相談業務14.3%
給与計算業務14.2%
各種規程の作成・改定・整備10.4%
コンサル業務(企画・立案・制度設計など)7.3%
助成金業務4.8%
執筆・講演業務2.1%
その他5.4%

売上の7割は顧問契約で、業務としては手続が4割を占めます。料金表の中心は顧問料で、その外側に給与計算・就業規則などの規程・助成金・スポットの手続が並ぶ、という形になります。

なお、顧問契約の数は平均33.2社、中央値は10.0社です。顧問先の数ごとの売上から逆算した1社あたりの目安(年30万〜40万円台)は、社労士の顧問報酬の相場と決め方にまとめています。この記事では、相場の数字ではなく、料金表という「表」の作り方に絞って解説します。

料金表に載せる項目

料金表には、少なくとも次の項目を用意しておくと、ほとんどの問い合わせに答えられます。

区分載せる内容料金の形(よくある組み立て)
顧問契約日常の手続、労務相談、法改正の情報提供月額。従業員数と業務範囲で段階
給与計算毎月の給与計算、賞与計算、年末調整月額の基本料+人数ごとの加算
年間の手続労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届1回ごと。人数で段階
スポットの手続顧問契約のない会社の資格取得・喪失、給付の申請など1件ごと
就業規則・規程新規作成、全面改定、部分改定、賃金規程などの付属規程1件ごと。工程で分ける
労使協定36協定など1件ごと
助成金申請の書類作成と提出着手金と成功報酬など
調査・トラブル対応労働基準監督署などの調査の立ち会い、個別の労使トラブルの相談1回ごと、または時間単位
研修・人事制度ハラスメント研修、評価制度・賃金制度づくり1回ごと、またはプロジェクト単位
相談顧問契約のない会社からのスポット相談時間単位

全部を最初からホームページに載せる必要はありません。ただし、社内用の料金表には全部を書いておくことをおすすめします。聞かれてから考えると、たいてい安く答えてしまうからです。

顧問料は「従業員数」と「業務範囲」の2つの軸で段階をつける

軸1:従業員数

社労士の料金表で最も多いのは、従業員数で段階を分ける形です。従業員が増えるほど入社・退社の手続や相談が増えるので、手間と料金の関係を説明しやすいからです。

段階の境目は、顧問先の困りごとが変わる節目に合わせると、値付けの理由を説明しやすくなります。たとえば「常時10人以上」は、労働基準法第89条で就業規則の作成と届出が義務になる規模です。こうした節目を段階の境目にしておくと、「この人数を超えると、こういう対応が増えるので料金が変わります」と自然に伝えられます。

軸2:業務範囲

従業員数だけで料金を決めると、手続だけを頼みたい会社も、毎月じっくり相談したい会社も、同じ料金になってしまいます。そこで、業務範囲でもう1つの段階をつけます。

プラン業務範囲の例
手続プラン社会保険・労働保険の手続、メールでの簡単な質問
相談プラン手続+労務相談(電話・オンライン。回数の目安を決める)
伴走プラン手続+労務相談+定期的な面談、規程の改定、採用・定着・評価など人の仕組みづくりの支援

2つの軸を組み合わせると、次のような表になります。

設定例:従業員数×業務範囲の顧問料表

※以下の金額は、表の作り方を説明するための「設定例」です。相場や推奨額ではありません。

従業員数手続プラン相談プラン伴走プラン
〜4人20,000円30,000円個別にお見積もり
5〜9人25,000円35,000円個別にお見積もり
10〜19人30,000円45,000円70,000円〜
20〜29人40,000円55,000円85,000円〜
30〜49人50,000円70,000円100,000円〜
50人以上個別にお見積もり個別にお見積もり個別にお見積もり

(月額・税別。設定例)

このような表にしておくと、次の3つの利点があります。

  1. 顧問先が「どこまで任せたいか」で選ぶようになり、価格だけで比べられにくくなる。
  2. 従業員が増えたときに、表に沿って料金が上がるので、値上げの説明がいらない。
  3. 相談や人の仕組みづくりなど、手続の外側の支援を上位プランとして最初から提示できる。

実態調査では、5年前と比べて顧客からの需要が「増えた」と答えた開業社労士は、「労働及び社会保険に関する相談業務」で71.5%、「各種規程の作成・改定・整備」で66.2%、「コンサル業務」で57.7%でした。相談や規程づくりは需要が伸びている仕事です。料金表の上位プランに、この領域をはっきり書いておくことが、顧問料の水準を上げる土台になります。相談・コンサルを商品にする考え方は社労士の3号業務(相談・コンサル)を増やすにはで解説しています。

金額の決め方は「下限」から

設定例の金額をそのまま使うのではなく、自分の事務所の数字で決めます。順番は次のとおりです。

  1. 下限を出す:1社にかかる月の時間 × 自分の時間単価。これを下回ると赤字になる金額です。
  2. 段階の差をつける:従業員数が1段階上がると、手続や相談の件数がどれくらい増えるかを、今の顧問先の実績から見ます。
  3. 目標と照らし合わせる:目指す売上 ÷ 目指す顧問先の数で、1社あたりの平均がいくら必要かを出し、表の中央あたりがその金額になるように調整します。

時間単価の考え方と、全国の1社あたりの目安は社労士の顧問報酬の相場と決め方にまとめています。

スポットの料金の決め方

スポットの料金は、顧問契約のない会社からの依頼と、顧問先からの「顧問料に含まない作業」の依頼の両方に使います。全国の事務所でも売上の平均28.1%はスポットなので、軽く考えずに表にしておきましょう。

決め方の基本

  • 手間から出す:その作業にかかる時間 × 時間単価 + 書類の確認や連絡の手間。
  • 最低料金を決める:1件の書類がどんなに簡単でも、受付・確認・連絡の手間は必ずかかります。「1件あたり○円から」と最低料金を決めておきます。
  • 顧問先と顧問先以外で価格を分ける:顧問先は割安に、顧問先以外は割高にしておくと、スポットの依頼が顧問契約につながるきっかけになります。
  • 人数で変わる作業は人数で段階をつける:年度更新や算定基礎届のように、対象者の人数で手間が変わる作業は、人数の段階ごとに料金を分けます。

スポットの料金表の設定例

※金額は表の形を示すための「設定例」です。相場や推奨額ではありません。

作業顧問先顧問先以外
資格取得・喪失の手続(1件)顧問料に含む10,000円〜
労働保険の年度更新20,000円〜(人数で段階)40,000円〜(人数で段階)
社会保険の算定基礎届20,000円〜(人数で段階)40,000円〜(人数で段階)
36協定の作成・届出10,000円〜30,000円〜
スポット相談(1時間)顧問料に含む10,000円〜

(税別。設定例)

年度更新と算定基礎届は、顧問料に含める事務所もあれば、別料金にする事務所もあります。どちらでもかまいませんが、どちらなのかを料金表と契約書に書いておくことが大切です。

就業規則作成の料金の決め方

就業規則は、作業の幅が広い

労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければならないとされています。記載する事項は、始業・終業の時刻や休日・休暇、賃金の決定・計算・支払の方法、退職に関する事項(解雇の事由を含む)などで、退職手当や安全衛生、表彰・制裁などの定めをする場合はそれも書く必要があります。

さらに第90条で、作成・変更のときには労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数を代表する者)の意見を聴き、届出にはその意見を書いた書面を添付することになっています。

つまり「就業規則の作成」と一口にいっても、ヒアリング、規程の作成、意見聴取の段取り、届出、社員への説明まで、工程がたくさんあります。「就業規則作成 ○万円」と1行だけで書くと、どこまでが料金に入っているかが伝わりません。

工程と種類で分ける

就業規則の料金表は、次のように分けておくと、見積もりの根拠を説明しやすくなります。

区分料金の分け方
新規作成ヒアリングの回数、案の修正回数、届出までを含むかで決める
全面改定今の規程の読み込みと、法改正・実態との差の確認を含める
部分改定法改正への対応など、変更する条文の数で決める
付属規程賃金規程、育児・介護休業規程、退職金規程などを1本ごとに
届出の代行意見書の準備と届出。顧問先は含めるかどうかを決める
社員への説明会1回ごと。時間と人数で決める

就業規則の料金表の設定例

※金額は表の形を示すための「設定例」です。相場や推奨額ではありません。

内容料金含まれるもの
就業規則の新規作成200,000円〜ヒアリング2回、案の修正2回まで、届出
就業規則の全面改定150,000円〜現行規程の確認、改定案、届出
部分改定(法改正対応など)30,000円〜変更条文の作成、届出
付属規程(1本ごと)50,000円〜作成、届出
社員への説明会(1回)30,000円〜60分程度

(税別。設定例。従業員数が多い場合は個別にお見積もり)

ポイントは、「含まれるもの」の列を必ずつけることです。ヒアリングや修正の回数に上限を書いておかないと、打ち合わせが何度も続き、手間だけが増えていきます。

また、就業規則は「作って終わり」ではありません。法改正や会社の変化に合わせて見直しが必要になるので、作成をきっかけに、規程の見直しを含む顧問プランを提案する流れも作っておきましょう。

給与計算の料金の決め方

基本料+人数ごとの加算が基本

給与計算は、人数が増えるほど手間が増える仕事です。そのため、月額の基本料+1人あたりの加算という形にする事務所が多くあります。基本料は、データの受け取り・確認・顧問先とのやりとりなど、人数にかかわらず毎月かかる手間の分です。

料金に含めるものを、項目で書き出す

給与計算で赤字になりやすいのは、金額の設定より、含める範囲があいまいなことが原因です。次の項目について、含めるのか、別料金なのかを決めておきます。

項目決めておくこと
勤怠の集計集計済みのデータを受け取るのか、タイムカードなどから集計するのか
賞与の計算月額に含めるか、1回ごとに別料金か
年末調整別料金にすることが多い。人数で段階をつける
住民税の更新年に一度の更新作業を含めるか
振込データ・明細の作成作るのか、どの形式で渡すのか
締め日からの納期データの受け取りが遅れたときの扱い
修正の対応顧問先の入力ミスによる再計算を何回まで含めるか

実態調査では、給与計算業務の需要が5年前より「増えた」が50.1%、「減った」が36.2%でした。増えたと感じる人のほうが多い一方で、減ったと感じる人も少なくありません。給与計算はシステムで効率化しやすい分、価格で比べられやすい仕事でもあります。給与計算だけで契約を取るより、顧問契約の一部として、相談や人の仕組みづくりとセットで提案するほうが、料金の水準を保ちやすくなります。

助成金の料金の決め方

助成金の申請は、支給が決まるかどうかに結果が左右される仕事です。そのため、着手金と、支給が決まったときの成功報酬を組み合わせる事務所が多くあります。

料金表で決めておきたいのは、次の点です。

  • 着手金の有無と金額(不支給になった場合に返金するか)
  • 成功報酬の計算の仕方(支給額に対する割合か、定額か)
  • 顧問先と顧問先以外で料金を分けるか
  • 申請の前提となる就業規則の改定などが必要な場合の料金

実態調査では、助成金業務の需要が5年前より「増えた」は42.1%、「減った」は43.6%で、他の業務と違って「減った」がわずかに上回っています。助成金を料金表の柱にするより、就業規則や制度づくりの支援の一部として位置づけるほうが、安定した料金表になります。

ホームページでの料金表の見せ方

料金を載せている事務所は、まだ多くない

実態調査では、事務所としての宣伝活動や情報発信の方法として「事務所ホームページ開設」を選んだのは39.9%で、「特段情報発信はしていない」が50.8%でした。ホームページを持っていない事務所も多いので、料金表をきちんと載せているだけで、比べる側の会社にとっては安心材料になります。

見せ方のポイント

  1. まずプランを3つ程度に絞って見せる:細かい表を全部載せるより、手続・相談・伴走のように、何をしてくれるかがわかるプランを先に見せます。
  2. 「含まれるもの」を金額の横に書く:「月額○円」だけでなく、その料金で何をしてもらえるかを箇条書きにします。
  3. 「〜」「個別にお見積もり」を上手に使う:人数が多い会社や、伴走のように内容で変わるプランは、金額を固定せず「○円〜」と下限だけを示します。
  4. 税込か税別かを必ず書く:国税庁の案内では、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合は、税込価格の表示(総額表示)が義務づけられています。年金の相談など個人の方からの依頼を受ける料金は、税込で表示しましょう。会社向けの料金を税別で書く場合も、「税別」と明記しておきます。
  5. 料金表の最終更新日を書く:いつ時点の料金かがわかると、改定したときに説明しやすくなります。
  6. 見積もりまでの流れを書く:「無料相談 → ヒアリング → お見積もり → ご契約」のように、問い合わせた後に何が起きるかを示すと、問い合わせのハードルが下がります。

料金表と一緒に載せたいもの

料金表だけでは、「なぜこの料金なのか」は伝わりません。次の情報を料金表のそばに置くと、価格ではなく中身で選ばれやすくなります。

  • どんな業種・規模の会社を支援しているか
  • 伴走プランで、毎月どんなことをしているか(面談の回数、報告の内容)
  • 顧問先からよく受ける相談の例

ホームページを含めた集客の入口のつくり方は社労士の集客方法13選で解説しています。

値上げしやすい料金表の作り方

料金表は、作ったときより、上げるときに差が出ます。最初から次の仕組みを入れておくと、あとで顧問先に気まずい思いをせずにすみます。

1. 段階の境目で、自動的に料金が変わる表にする

従業員数の段階で料金が決まる表にしておけば、顧問先の人数が増えたときに「料金表の区分が変わりました」と伝えるだけで済みます。契約書にも、「従業員数が料金表の区分を超えた場合は、翌月(または更新月)から該当する区分の料金とする」と書いておきます。

2. 料金表に「版」と改定日をつける

「2026年10月版」のように版をつけておくと、料金を見直したときに「新しい版の料金表になりました」と案内できます。新しく契約する顧問先から新しい版を使うのが、いちばん摩擦の少ない値上げです。

3. 含まれる範囲を「件数」や「回数」で書く

「労務相談:無制限」と書くと、相談が増えても料金を変える理由がなくなります。「月○回まで」「月○時間まで」のように目安を書いておけば、増えたときに上のプランを提案できます。

4. 開業時の割引は、期間を決めて書く

開業直後は、顧問先を増やすために料金を下げたくなります。下げるなら、「開業記念価格(○年○月のご契約まで)」のように期間を書いた割引にして、もとの料金表は変えないでおきます。最初の料金表そのものを安くすると、あとから戻すのが大変です。

5. 更新時期を決めておく

契約の更新月を決め、その時期に業務範囲と料金を見直すことを契約書に書いておきます。見直しの時期が決まっていると、話を切り出しやすくなります。

既存の顧問先に値上げをお願いするときの準備と伝え方、そのまま使えるお知らせ文の例は、社労士の顧問料アップ完全ガイドにまとめています。

料金表づくりのよくある失敗

失敗1:他の事務所の料金表を、そのまま少し安くする

近くの事務所の料金表を見て、それより少し安くするのは、いちばんよくある決め方です。けれど、その事務所の料金が、自分の事務所の手間や目標に合っているとは限りません。安さで選んだ会社は、もっと安い事務所が見つかれば離れていきます。自分の時間単価と目標から逆算した下限を、まず出しましょう。

失敗2:「顧問料に含むもの」を書いていない

料金表に金額しか書いていないと、年度更新も、就業規則の小さな修正も、助成金の相談も、すべて「顧問料の範囲」と受け取られがちです。作業が増えても料金が変わらないので、顧問先が増えるほど忙しく、売上は伸びない状態になります。

失敗3:項目が細かすぎて、お客さまが比べられない

逆に、手続1件ごとの料金を何十行も並べると、お客さまは自分がいくら払うことになるのかわからなくなります。ホームページではプランと「○円〜」を見せ、細かい料金は社内用の表と見積書で示すようにしましょう。

失敗4:料金表を作ったきり、見直していない

開業時に作った料金表を何年もそのまま使っていると、法改正への対応や相談の増加など、仕事の量が増えた分が料金に反映されません。少なくとも年に一度、顧問先ごとの手間と料金を見比べる時間をとりましょう。

失敗5:助成金や給与計算だけで料金表を組む

助成金や給与計算は入口として役立ちますが、需要の変化や価格の比べやすさを考えると、それだけで料金表を組むのは不安定です。中心は顧問契約、その上に相談や人の仕組みづくりという形にしておくと、料金表全体が安定します。

よくある質問

社労士の料金表に、決まったひな形や相場表はありますか?

ありません。2002年11月27日に公布された社会保険労務士法の改正で、社労士会と連合会の会則から報酬に関する規定が削除されました。また、公正取引委員会の「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」では、資格者団体が会員の報酬について共通の目安となる基準を設けることは、原則として独占禁止法に違反するとされています。料金表は、各事務所が自分で作るものです。

スポットの料金は、顧問先と顧問先以外で分けたほうがいいですか?

分けておくことをおすすめします。顧問先は割安に、顧問先以外は割高にしておくと、スポットの依頼をきっかけに顧問契約を提案しやすくなります。年度更新や算定基礎届のように、人数で手間が変わる作業は、人数で段階をつけておくと見積もりが早くなります。

就業規則の作成料金は、どう書けばいいですか?

「就業規則作成 ○円」と1行で書くのではなく、新規作成・全面改定・部分改定・付属規程・届出・社員への説明会のように分け、それぞれに「含まれるもの」(ヒアリングの回数、案の修正回数、届出の有無など)を書いておきましょう。労働基準法では、作成・変更のときに労働者の過半数を代表する者などの意見を聴き、その意見書を届出に添付することになっているので、その段取りを含めるかどうかも書いておくと安心です。

ホームページに料金を載せると、安い事務所と比べられませんか?

比べられることはあります。ただ、料金を載せていないと、問い合わせる前に料金がわかる事務所へ流れてしまうこともあります。プランごとに「含まれるもの」を書き、伴走のように内容で変わるプランは「○円〜」と下限だけを示しておけば、金額だけでなく中身で選んでもらいやすくなります。

出典

法令・ガイドライン・調査結果は2026年10月23日時点で各発表元のページを確認した内容です。調査期間は2024年4月24日〜6月9日。売上内訳・業務の内訳・顧問契約社数・情報発信は個人事務所の代表と社労士法人の代表社員(14,469人)、需要の変化は開業社労士(開業と法人の社員、15,251人)の回答です。記事中の「設定例」の金額は表の作り方を示すための仮の数字で、相場や推奨額ではありません。